オトナの秘密基地
今日は社食で、桜と待ち合わせをしていた。

サバの味噌煮定食を食べながら、桜に昨日の話を聞いてもらう。


「なるほど。

愛実ちゃんはどんどん実家の居心地が良くなってきた感じね」


「うん、最初の頃は遠慮してたんだけど、今は私や母をあごで使ってる」


母はすっかり、孫に尽くすのが生きがいになっているようだから、まあいいけれど。

桜が深刻な顔で、話を続けた。


「このままだと、別居からそのまま離婚になっちゃうパターンかも。

離婚させたくないんだったら、ちょっと考えた方がいいと思うな」


「だよね。でも、旦那は旦那で独り暮らしを楽しんでるっぽくてさ」


もう1か月過ぎたというのに、愛実の旦那が迎えに来たことは一度もなかった。


「それ、早く何とかしないと、ホントに修復できなくなっちゃうよ。和実も動かないと」

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