オトナの秘密基地
自信たっぷりにそう言われたけれど、根拠はどこに?

首をかしげる私に、幸子さんが笑いながら答えてくれた。


「だって、赤子がちゃんと生まれなきゃ、国が亡びるもの。

ここは国を護るための神社なんだから」


幸子さんの都合のいい解釈に、私も思わずうふふと笑った。

幸子さんの子ども……ケイコちゃんとカツヤは、仲良く手を繋いで私たちの前を歩いていた。


「ねえ、幸子さん、知ってる?」


「なにが?」


「今日の正午、ラジオで重大発表があるんですってね。

昨日の夜のラジオでそう言ってて、今朝のラジオでも繰り返してたわ」


私には、これが玉音放送であることがすぐに分かった。
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