オトナの秘密基地
奥の間へ移動してすぐに、モンペを脱いで浴衣に着替えた。

脱いだ衣服を畳んでいるうちに、また次の陣痛が来る。

陣痛の間隔が、どんどん短くなってきた。

痛みも次第に強くなってくる。

ちょ、ちょっと、マジで痛いってば。

布団の上に座っていたけれど、耐えられなくなって転がった。

何とか楽な姿勢はないかしら、と試した結果、四つん這いに。

着たばかりの浴衣がはだけてしまったけれどそんなものに構っている余裕は全くない。

朝のうちにきれいにセットしたおだんごは、既に崩れてぐちゃぐちゃになってきた。

我慢していても、唸ってしまいそうになる。

干物女子から獣女子へと変貌を遂げた私に、恥じらいや慎みは消える寸前だった。

陣痛の波が引いた瞬間に戻る思考が、ピンチを訴えている。
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