オトナの秘密基地
和子さんは二人目の出産。

しかも、戦前の女性は痛くても叫ばず、ひたすら耐えたらしいじゃないの!

今の私のように取り乱さないはず。

これから来てくれる産婆さんは、カツヤの出産でもお世話になった方。

二人目なのにこんなに取り乱していたら、絶対におかしい。

だけど、痛くて苦しくて、どうしていいのかわからない!

早く産婆さんに来て欲しいと思う気持ちと、このままでは和子さんの人格が疑われてしまうという怯え。

茶の間で無邪気に遊んでいる子ども達が、私の唸り声を聞いて驚くかも知れない。

それだけは、嫌だ。

嫌なのに、体が言う事をきかない。

今までこの世界で、カツヤと赤子のピンチを何度か救ったつもりだけど、今回ばかりは私が一番ピンチ!
< 188 / 294 >

この作品をシェア

pagetop