オトナの秘密基地
いくらこの部屋を、今流行のLDRに見立てたところで、医療器具も揃っていない、お医者様もいない。

いざとなったら帝王切開にできるような手術室もない。

今まで何とかこの世界に順応しようと頑張ったけれど、お産だけは無理!

第一、出産未経験だというのに、経験者のようにふるまうことは不可能。


……あ、また陣痛が来た。

痛い、痛い、痛い、痛いって!!


「もう限界っ!

和子さん、その辺にいるんでしょう?

これ以上あなたのふりをするのは不可能!」


だんだん獣化する中で、思わずそう唸った。

痛みでお腹と腰と、頭の奥がぎゅうぎゅう捻られる。

あまりの痛みに、目の奥がチカチカして、白い閃光が見えた。

光がどんどん拡がるこの感覚って、もしかしたら……?
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