オトナの秘密基地
「そうと決まったら、善は急げ!

この間営業に来た東栄不動産のパンフレット、確か休憩室にあったはず」


サバをつつきながら、桜が俄然張り切りだした。


「私、モデルルーム見るの好きなんだよね!

実家を建てる時、お母さんと色々回って、いっぱい景品もらった時からハマっちゃってさ。

楽しいよ~、モデルルーム見学って」


そんな話を聞いていたら、私も何だか楽しくなってきた。

私の頭の中は、既に自分好みのインテリアで統一されたおしゃれなマンションに占領された。

私が出ていくことで、愛実がますます実家暮らしを楽しむことになるのか。

それとも、旦那のところへ帰っていくきっかけになるのかはわからない。

決まったのは私が家を出る覚悟だけだった。

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