オトナの秘密基地
次の場面は、上下左右に揺れていた。

甲板で水平線を見つめている征二さん。

これはきっと、千島へ行く途中の船。


また、場面が変わった。

今度は防空壕の中で、必死に耳を塞いでいる和子さんとカツヤの姿があった。

みんなにおにぎりをふるまい、談笑するところも見られる。

その後の映像は、ずっと征二さんを追いかけていた。

野営のための準備や、訓練の事。

部下と談笑する姿も見られた。


……ああ、そういう事ね。

和子さんは征二さんの事とカツヤの事が気になって仕方がない。

だけど、こっちは私が入っている安心感があるためなのか、本当にピンチの時だけ見に来ているような印象を受けた。

あとは、大好きな征二さんの姿をずっと見ていたかったのかも知れない。
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