オトナの秘密基地
ちょっとマスター、今何て言ったの!?

私は眠り姫じゃないし。

姫とはほど遠い、干物女なんだってばー!

第一、中田さんにだって選ぶ権利が……。


「それで起きるのか?」


中田さん、真に受けないでよっ!


「何もしないよりは起きる確率がUPするだろうな」


絶対、嘘!


「お前がそう言うのなら、試してみる。

恥ずかしいからあっち向いてろ」


「おう、トイレに行ってくるわ。

戻ったらすぐ仕事だしな」


あ、あの、行かないで、マスター。

私の願いもむなしく、足音と襖の開閉される音が聞こえた。

私と中田さんが二人きりにされたらしい。

その時、体にわずかな風を感じた。

グリーンティの香りがほんの少し漂う。

感覚が、戻ってきたのかも知れない。


「和実、聞こえるか?」
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