オトナの秘密基地
「嫌な事も思い出しちゃったんだろ」


「……でも、あれは私が悪かったから」


「気にしなくていいって言っても、気になるよな。

それで、俺にはもう会いたくないだろうと思って、うちの防空壕で見かけた時も声をかけなかったんだ」


「……うちの防空壕! そうだった!

私達が秘密基地にしてたあの場所って、中田さん家の敷地内ですよね?」


戦時中、あの辺一帯は全部中田家の土地だったはず。


「そう、俺も子どもの頃はよく遊んだよ。

でもかなり危なくてさ。

他の子もたまに入って来ていたし、うちの親も管理に困って学校へ連絡したんだ」


そうだったんだ……。


「和実達が置いて行った宝物も、探せば家の中のどこかから出てくるはずだ。

相当大変な作業だと思うけどな」
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