オトナの秘密基地
こうして、中田さんのしっかりした身元と人当たりの良さを気に入ったお母さんは、私達を快く送り出してくれた。


「早くデートに行ってらっしゃい。

何時に帰ってきてもいいから」


まあ、結婚適齢期を過ぎた娘だから、こんな扱いになるんだろうけれど。


「そう言えば、愛実達は?」


ここに着いてから30分になるのに、まだ帰って来ていないから気になった。

もうすぐ夜だから、公園ではないだろうし。

すると、玄関を先に出た中田さんに聞こえないように、ひそひそ話で打ち明けられた。


「それがね、愛実の旦那がやっとうちに来たんだけど、ちょっとびっくりよ。

いきなり仕事辞めてたの!」


何それ!? 誰にも相談しないで妻子ありのプー太郎になっちゃったの?


「えええええっ! これからどうすんの!?」


「声が大きい。それで今、話し合ってるの」
< 223 / 294 >

この作品をシェア

pagetop