オトナの秘密基地
「その後、闇市みたいなところで、農作物を売ってるけれど……あ、まずいモノに手を出したな。

注射器とクスリ……ヒロポンってヤツだ」


ヒロポンって、確か覚せい剤だったような。

中学生の頃、授業で薬物のビデオを見せられて、その中で出ていた。

戦後、覚せい剤はヒロポンっていう商品名で売られていたって。

まだ副作用が知られていなくて、多くの人が薬局で買って手軽に使っていたそう。


マスターはまた、水晶玉で正さんの様子を探る。


「あ~あ、やっぱりヒロポン中毒になったみたいだな。

ものすごい本数を打ってる。

そんなに打って大丈夫……じゃないな。

……部屋で、倒れてる」


そう言って、マスターは目線を水晶玉から私達に向けた。


「こいつの人生は、これでおしまいだ」
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