オトナの秘密基地
「麗華、何が見えるの?」


桜の問いに、小さな声で答えてくれたのは


「痩せた中年の男とおばあちゃんが、睨みあってるの。

男はおばあちゃんの事を相当恨んでるみたいで、マスターが何とかなだめようとしてる。

でも、おばあちゃんの気持ちやマスターの念も、全然届いてないよ。

とにかく、恨めしい、こいつさえ先に殺しておけば良かったって……」


死んでなお、恨みを持ち続ける正さんが哀れだった。


「ねえ、この人、どうしてこんなにおばあちゃんを恨んでるの?」


麗華の疑問にどう答えようか迷っているうちに、中田さんが答えてくれた。


「男っていうのは、俺の親戚。

お祖母ちゃんっていうのは俺の祖母。

この男が、うちの祖母を逆恨みしているらしい

理由は恋愛感情のもつれと金、だな」
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