オトナの秘密基地
それを聞いた麗華が、ただの壁にしか見えない場所をじっと睨みつけながら言った。


「もうちょっと詳しく教えて下さい。

この男が思ってるのと、ちょっと違うみたいだから」


「どう思ってるの?」


私が聞くと、麗華は早口でまくし立てた。


「俺が先に見初めてやったのに、あいつに取られた。

お前は露骨に俺を避けるようになった。

あいつがいなくなって、やっと俺のものになるかと思ったら、紙くずで騙しやがった。

たったあれだけの金じゃ、何の足しにもなりゃしない。

お前さえ中田家へ来なければ、俺は幸せになれた。

……以上、ご本人が思ってることはこんなカンジかな」


さすが『霊感少女・麗華』という、オヤジギャグばりのあだ名を付けられていただけのことはある。
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