オトナの秘密基地
「そうだろ?

しつこく言い寄っても全然なびかない祖母ちゃんと、遺産を受け継ぐ祖母ちゃんの息子を殺そうとしたらしい。

それで祖母ちゃん、自分達の身を守るために、戦時国債をこいつに渡したんだ。

ところが戦後、国債の価値が紙切れ同然になってしまって、当てがはずれたんだな。

自暴自棄になって覚せい剤中毒死した」


うわ、改めて聞くと、ホントろくでなし。

その時、麗華が叫んだ。

「この男、意外に空気が読めるわ。

今、みんなが一斉にこの男を心の中でこき下ろしたでしょ?」


全員が大きく頷いた。


「死ぬ前から今まで、この男は自分の思い込みだけで人を恨んでるの。

他人から見た自分の評価がどんなものなのか

わかってないわ。

……さ、みんな、遠慮なく言ってやって!」
< 238 / 294 >

この作品をシェア

pagetop