オトナの秘密基地
「お前さ、以前『除霊だけ、とかヒーリングだけ、に使える場所が欲しい』って言ってたよな」


「ああ、ここで店の営業時間にやってると、必ずと言っていいほど邪魔が入るからな」


「それでだ。

今、モデルルームにしてる部屋、良かったら使ってみないか?」


あの、秘密基地の上に建っているマンションの事、だよね?


「マジ?」


「どうせ普段は使わないことになったし、空家にするよりはいいだろ?」


「いいのか?

あのでかい家だと維持が大変だからって、言ってなかったか?

……ああ、そういう事か、ごちそうさん」


マスターは私を見ながらニヤニヤした。

うう、恥ずかしい。

結局マスターの思惑通りになっちゃったじゃない。


「それじゃあ、遠慮なく使わせてもらうことにするよ。

賃料は払わなくてもいいんだな」
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