オトナの秘密基地
なな何ですかっ!
中田さんの手は、止める間もなく私の方に接近した。
そして、その手は私の頭上に。
優しく、撫でられた。
「さんざんからかわれて、おもちゃにされてたな。
でも、ホントにいい友達に恵まれてると思うよ」
なだめてくれている、らしい。
「俺達の母校の教育目標、覚えてるか?
和実達を見ていたら、ちゃんとその通りに育ってるんだなって思った」
……教育目標!?
よく体育館とかに貼ってある、あのわかりやすい3つの言葉ね。
『強く、賢く、美しく』だった。
インパクトのあるその目標は、入学式で校長先生から教えられて以来、ずっと忘れずにいたけれど……。
それと私達を重ねるのって、買いかぶりすぎじゃない?
懐かしい話をしながら、車は来た道を引き返す。
窓に映る自分の姿を見て、ちょっと溜息をつく。