オトナの秘密基地

ばあちゃん……?

さっきまで私の背後で話していたはずの中田さんが、私の真正面に来て、頭より上を見ながらきっぱり言い放った。

驚いて後ろを振り返ると、そこに見えたのは和子さんの幽霊……であるはずもなく、フォトフレームに収められた家族写真だった。

和子さんらしき初老の女性が赤ちゃんを抱っこして、その横に若い夫婦が立っている。

多分この赤ちゃんは中田さんで、百日の記念写真だと思う。


こんなに柔和な笑顔を浮かべる和子さんが、バケモノ?

バケモノの正体は和子さんだと決めつけているような中田さんの態度に驚く。


「多分孫の嫁候補が『キズモノ』にならないように『バケモノ』としての自分の姿をアピールして追い払ったんだろ」

ま、孫の嫁候補!!

和子さん、そんなに私を気に入ってくれていたのですか……。

でもね、中田さんにだって選ぶ権利というのがあるはずだし、この頃の私達は何の接点もなかったのだから、ここで私が『バケモノ』呼ばわりされちゃったら、ショックでしかないのですよ!
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