オトナの秘密基地
「返してよ!」
……自分の寝言に驚いて目覚めた。
小学校の頃に戻りたい、なんて考えたせいだろうか。
あの頃みんなで遊んだ、秘密基地ごっこの夢を見るなんて。
私達が秘密基地として使っていた場所は、小学校のPTAから「危険区域」に指定され、ある日突然使えなくなってしまった。
人工的に掘られた洞窟のような穴は、かつての防空壕だったらしく、崩落の危険性があったそうだ。
しかもその後、すぐそばから不発弾が発見されて、その爆弾を処理するために、一時期地域住民に避難指示が出されたほど。
私達4人は、かなり危険なところで、呑気にサバイバルごっこをしたり、お菓子を食べたり、初恋の相手を暴露し合ったりと、子ども時代を謳歌していたらしい。