オトナの秘密基地
二人で過ごすはじめての夜、知らなかったことを沢山教えられ、気づかされた。
まず、中田さん……博矢さんは、単なる理知的草食眼鏡男子ではなかった。
胸板がっしり、腹筋もしっかり割れた、疲れを知らない肉食ガテン系男子だった。
オフィスで製図を描く仕事が半分、現場監督として作業員の陣頭指揮を執る仕事が半分、だそうで。
若くてイキのいいガテン系にナメられないようガシガシ働いていたら、こうなったと言っていた。
一見クールなのに情にもろくて、草食系と見せかけて野獣で。
優しいのに我儘で、余裕があるようでいて「我慢できない」なんて耳元で囁く。
卑屈になった私を受け入れ、解き放ち、満たしてくれる。
今までの記憶を塗り替えられるよう、とても丁寧に繰り返された。
それは、まるでとっておきの秘密を共有するような甘い時間。
二十年以上の時を経て、大好きなお兄さんに愛でられる幸せ。
これも、征二さん達が命をかけて守ってくれた未来のお蔭だと思った。
征二さんそっくりな、博矢さんの腕の中で。