オトナの秘密基地
そしてここにいる人達は、みんな私達家族の事を知っている。


「まだ解除されないのかねぇ」


おばさんが溜息まじりに呟く。

『解除』って、何の解除?

言葉の意味を考えていたら、またサイレンが鳴った。

今度のサイレンは、さっきとは違い、長く鳴り響く。


「ああ、やっと出られる」


秘密基地の入口を塞いでいた扉を、誰かが開いたらしい。

新鮮な空気が流れ込んでくる。

でも、秘密基地の中は、真っ暗なまま。

外は夜だった。


「やれやれ、腰が痛いわ」


みんな次々と出ていく。

膝の上から「カツヤ」が立ち上がった。

「おうち、かえれるの?」

「ああ、帰ろうな」
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