オトナの秘密基地
小学校3年生の時、そう、ちょうどいつもの4人で秘密基地ごっこをしていたあの頃の社会見学は、浄水場とゴミ処理場だった。

確か戦前は、軍隊にしか水道がなかったって水道局のおじさんが言ってたはず。


やっぱり、流し台には水道の蛇口らしきものはなくて、ちょっと離れたところにポンプのようなものがあった。

井戸水を使うらしい。


ど、どうやって汲むの?

茶碗を持って流し台に立ったものの、挙動不審になっている私を見て、旦那様が声をかけてくれる。


「和子、気分が悪いのか?」


ありがたい言葉をかけてくれたのを幸いに、腹痛のふりをしてその場を取り繕うことにした。


「あ……すみません、ちょっとお腹が……」


そう言った途端、旦那様の顔色が変わった。


< 46 / 294 >

この作品をシェア

pagetop