オトナの秘密基地
そっと掌をお腹に当ててみると、微妙に膨らんでいるような気がする。
この時代、余分なお肉がついている人なんていないから、和子さんのこのお腹は、純粋に妊婦のお腹。
まだそれほど目立っていないことから察するに、妊娠後期ではなさそうだ。
愛実の妊娠中、確か6か月位までは、普通の服が着られていた程度のお腹だったし。
お腹に意識を向けたら、なんだか途端に痛くなってきたような気がする。
ちょっと、まさか生まれようとしてる訳じゃないよね!?
鈍い痛みに、思わずしゃがみこんだ。
「和子! 大丈夫か!?」
「か~しゃん!」
カツヤが心配そうに、私の顔を覗き込む。
「カツヤはいいから、奥の間で寝る支度をしていなさい」
「はぁい」
茶碗を置いた旦那様が、駆け寄ってきた。