オトナの秘密基地
Fade-out
身体がぐらぐらする。
何だろう。
驚いて目を開く。
眩しい光が降り注ぐ部屋の中で、私は横になっているようだ。
眼鏡のフレームをかえて髪の毛を伸ばした旦那様が、私の身体をゆすっていた。
……いや、ここはあのマンション、ということは。
これは旦那様ではなくて『盛り塩さん』?
夢から醒めて『盛り塩さん』に起こされてしまったのだろうか。
恥ずかしい。
いい年して、こんなところで寝てたなんて。
穴があったら入りたい、できれば戦時中の防空壕以外で、などと思いつつ、目覚めさせてくれた彼に言葉をかけた。
「あの……私、どうしてしまったんでしょうか?」
彼が盛り塩を落としたところまでは覚えているけれど、その後、倒れたのか眠っただけなのか、よくわからない。