オトナの秘密基地
玄関に入ると、中田さんに手招きされた。

一階の廊下を奥まで進んで案内されたのは、広い和室。

私をそこへ入室させてすぐ、彼はいなくなる。

日当たりが良くて、落ち着ける場所だった。


部屋に入って最初に目に留まったのは、仏壇と、その上に飾られていた遺影。

……旦那様の姿が、そこにあった。

モノクロ写真だったけれど、私の夢で見たのと同じ。

坊主頭に丸眼鏡、軍服姿。

ということは、もしかすると……。


そして、隣にある写真は、割と最近撮影されたような、カラーの遺影。

穏やかで優しそうな、おばあちゃんの姿。

これが和子さん、なのかな?

そういえば私、あの時は自分の顔を見ていなかったっけ。

でも、遺影のおばあちゃんを見る限り、若いころは美人だったと想像できた。
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