オトナの秘密基地
中田さんの指が、一瞬止まった。
言葉を探しているように思えた。
それからまた、少しゆっくりと打ち始める。
【最初に部屋の中の異変に気付いたのは、伯父だった。
二人で酒を飲んでいて、気づいた時にはもうかなり危なかったらしい。
父が覚えている伯父の最期は、這いつくばりながら黒電話の受話器を上げて、119番を回している姿だったそうだ】
あの、グズベリーをおいしそうに食べていたカツヤ。
旦那様の抱っこを喜んでいた小さな坊主頭の男の子。
彼の最期が、一酸化炭素中毒だったなんて。
和子さんは夫だけではなく、息子にも先立たれていたとは。
ほんの一瞬だったけれど、カツヤに「か~しゃん」と呼ばれたあの、心の中がほわんとあったかくなる感覚を思い出して、切なくなる。
言葉を探しているように思えた。
それからまた、少しゆっくりと打ち始める。
【最初に部屋の中の異変に気付いたのは、伯父だった。
二人で酒を飲んでいて、気づいた時にはもうかなり危なかったらしい。
父が覚えている伯父の最期は、這いつくばりながら黒電話の受話器を上げて、119番を回している姿だったそうだ】
あの、グズベリーをおいしそうに食べていたカツヤ。
旦那様の抱っこを喜んでいた小さな坊主頭の男の子。
彼の最期が、一酸化炭素中毒だったなんて。
和子さんは夫だけではなく、息子にも先立たれていたとは。
ほんの一瞬だったけれど、カツヤに「か~しゃん」と呼ばれたあの、心の中がほわんとあったかくなる感覚を思い出して、切なくなる。