オトナの秘密基地
【それで、防空壕から出て来られた?】


後の話はまだ詳しく説明していなかったことを思い出し、ノートPCを私の方に向けてもらう。


【空襲警報が解除されて、防空壕からみんな出たの。

私はカツヤに抱っこをせがまれたんだけど、旦那様が「今は俺が抱っこする」って言って……。

私が妊娠中だったから、気を遣ってくれたのかも知れない】


そう打つと、中田さんは大きく頷いて、続きを打つようにジェスチャーで示した。


【家に入ってすぐ、私が妊娠中だって旦那様に言われて気付いたの。

お腹は目立つほど大きくなかったから、妊娠中期位かも。

それで、お腹の痛みと貧血で倒れたら、こっちの世界に戻って来られた。

目を覚ましたら、旦那様とそっくりな中田さんがいてびっくりしたの】
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