オトナの秘密基地
中田さんがまた、横からタイピングする。


【お腹の中にいたのが、俺の父って事か。

腹痛で倒れて元の世界に戻ってきたら、祖父にそっくりな俺がいて驚いた?

俺も話せないし耳が聞こえなくて驚いたけど】


そこまで打って、私の方を見る。

私が頷くと、さらに指を動かした。


【これで話が全部繋がった。

あの適当な盛り塩の処分に失敗したせいで、俺の存在自体が危うくなってる。

過去に遡って、我が家の存在を消そうとしてるんだと考えられる。

祖母が父を流産したら、当然俺も消える】


やっぱり、中田さんの導き出した答えは、私と同じだった。

深く頷いて、それから自分のお腹に手を当てる。

今はぺたんこのお腹だけど、和子さんだった時、確かに存在した赤ちゃん。

あのままだと、赤ちゃんが危ない。
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