オトナの秘密基地
【父がいなければ、我が家は消滅する。
この家も、ここらへんの土地も、我が家のものではなくなる】
確かに、カツヤが二十代で亡くなってしまう訳だから、中田さんのお父さんがいないと、中田家自体がなくなる。
和子さんは、ひとりぼっちになってしまう。
この写真のような、穏やかな晩年ではなくなってしまうだろう。
あの時、もっと早く私が体を休めていたら良かったのかも知れない。
和子さんの意識のままだったら、気を付けていたはず。
どうしよう……。
悩む私の横で、また中田さんの指が動く。
【俺の存在が消えかかってるから、話せなくて聞こえないんじゃないかと思う。
意思疎通を妨害して、他者との交流を封じるところから、俺の消去が始まってる。
今は会話も電話もできない状態な訳だし】
この家も、ここらへんの土地も、我が家のものではなくなる】
確かに、カツヤが二十代で亡くなってしまう訳だから、中田さんのお父さんがいないと、中田家自体がなくなる。
和子さんは、ひとりぼっちになってしまう。
この写真のような、穏やかな晩年ではなくなってしまうだろう。
あの時、もっと早く私が体を休めていたら良かったのかも知れない。
和子さんの意識のままだったら、気を付けていたはず。
どうしよう……。
悩む私の横で、また中田さんの指が動く。
【俺の存在が消えかかってるから、話せなくて聞こえないんじゃないかと思う。
意思疎通を妨害して、他者との交流を封じるところから、俺の消去が始まってる。
今は会話も電話もできない状態な訳だし】