オトナの秘密基地

継承

 
それからすぐに、中田さんは動き出す。

呼び出した『誰か』が来る前に、メールでタイ在住のご両親と連絡を取ろうと試みていた。

……だけど。


【至急、連絡を!】


と送っても、返信はなかった。

お父さんとお母さんそれぞれが持っている、携帯・PCのアドレス両方に送信したけれど、どこからも返信が来ない……。

そうだ、時差のことを忘れてた。

中田さんに聞いてみる。


【タイの現地時間は?】


時計を見た中田さんが、首を振った。


【日本の2時間遅れだから、もうすぐ正午】


その時間だと、起きて活動しているはず。

でも、物事は悪い方に考えてはいけない。


【もしかしたら、何か用事があって手が離せないのかも】
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