オトナの秘密基地
また、PCの前に座って、中田さんに質問。


【和子さんは、この部屋を使っていた?】

【そう、ここが祖母の部屋だった】

【じゃあ、和子さんてどんな人だったの?】


それを見た中田さんは、少し考えてからタイピングを始めた。


【優しい人だったよ。

穏やかで、物静かで、俺の事を可愛がってくれた。

父の事もものすごく大事にしていた。

うちの母は父を『マザコンだ』なんて言ってたけどね。

祖母にとっては、たったひとりの子どもになった訳だし】


その気持ち、理解できる。

愛する旦那様と長男を亡くした和子さんにとっては、次男と孫が生きがいだったんだ。

旦那様の面影が残る、息子と孫が可愛くて仕方がなかったんだろうな。

私が頷くのを見て、彼はにっこりした。
< 75 / 294 >

この作品をシェア

pagetop