オトナの秘密基地
【うちの母もそれが解っているから、祖母には逆らわなかった。

旧家に嫁いだ者の定めらしいよ】


旧家、という言葉で、また納得した。

旦那様と和子さんが住んでいた家は大きかったし、現在の中田さんの家も広い。

ということは、和子さんってもしかしたらお嬢様だった?

PCをこちらに向けて、私から質問。


【和子さんとお祖父さんって、どうやって知り合ったの?

やっぱり、お見合い?】


そこまで打ったところで、玄関のチャイムが鳴った。


「またあとで」


中田さんの口がそう動いて、部屋から出ていく。

後に残された私はまた、旦那様と和子さん、それにカツヤの遺影を見つめていた。

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