オトナの秘密基地
「事実だもの。
【結婚適齢期】は今じゃ死語だけど、【出産適齢期】はあるんだよ。
和実、何だかんだ言って子ども好きでしょ」
しれっと返すところが、またキツイ。
「まだまだ大丈夫だよ~。
でも、憧れてた若いママにはなれなかったなぁ」
「……うん、自分は若いつもりでいても、卵子はどんどん年取っちゃうんだから」
黙って聞いていた園子が、ぽつりと言った。
しまった、園子の前でこの手の話題に触れてはいけなかったのに。
私達は慌てて、仕事に戻るから、とカフェを後にした。