オトナの秘密基地
「いざとなったら、神社に逃げたらいいのかも。

でも、あの防空壕も安全だったと思う」


「どうして?」


マスターが中田さんのポケットから、さっきの盛り塩を取り出しながら聞いた。


「小学生の頃、あの防空壕で遊んだことがあるの。

その時と、戦時中の防空壕の中は、あまり変わらなかったような気がしたから」


「よし、安全な場所が解ったところで、早く準備しないと。

はい、そこに寝て」


マスターが、他人の家の押し入れを勝手に開けて、座布団を取り出す。

そして、床の間の前に並べた。


「こうですか?」


「そう、気持ちを楽にして。

……いいかい、和実ちゃんの任務は、博矢の伯父さんと親父さんを守ること」


座布団の上に横たわりながら、深く頷いた。
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