オトナの秘密基地
その間、私の貧血は少し落ち着いてきた。

ひざまくらをやめて、頭が下になったからかも知れない。

布団を敷いている旦那様に、急いで声をかけた。


「その枕を、足元へ置いてもらえませんか?

枕の上に、座布団も重ねて下さい」


「それはかまわないが、何故?」


「貧血になっているので、脳に血が流れるように、足を高くするのです」


「そうか」


旦那様はそれ以上特に何も言わず、素早く準備をしてくれた。

さらに、寝間着を出してくれたので、そろそろと起き上がって着替えてみようとした。

旦那様とはいえ、私にとっては全く知らない人の目の前で着替える訳にはいかない。

立ち上がって、旦那様の死角で着替えようと考えたのがいけなかった。
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