Thanks for XX【六花の翼・番外編】
「そういや、こんなこと一回だけしたよね。
瑛さんが音羽の家から村に帰るっていう前日に」
まりあの料理がほとんどなくなった時、懐かしそうに太一が言った。
「あー、あの時は何もなくて、かくれんぼとか鬼ごっことかしたよね」
「よう考えたら、酒をくすねんでも、
まりあがジュースにえいっと念力をかければ良かったんやけどな」
「そうそう。後から留衣さんに怒られてさー」
「しょうがないじゃない、あの時は落ち込んでてそこまで頭が回らなかったんだもん」
懐かしい話に、全員の顔がほころんでいく。
あの時はしんどかったけど、今となっては、いい思い出や。
「そういえば、かくれんぼの時、二人して消えたでしょ?
あんたたち、どこで何してたの?」
「ぶっ!!」
清良のツッコミに、瑛が口に含んでいた酒を噴き出してしまった。