Thanks for XX【六花の翼・番外編】


そういえば。


まりあのコップは、常に炭酸ジュースかお茶が入っていた。


それは客である僕らをもてなすためだと思っていたんやけど……。



「もー皆やめよー。

ほら、ドレスの写真持ってくるから、それ見よう!!」


「それもやめろっ!!

どれだけ俺を辱めれば気が済むんだ!」


「ちょっと、待ちぃな」



瑛とまりあは、式はしないと聞いていた。


瑛がああいう性格だし、親戚はいないし、会社は元忍者だらけやし。


だから衣装をつけた写真だけ撮ったのは、そういう理由やろう。


けど、僕は気づいてしまった。


というか、見えてしまった。


昔はペタンコだったまりあのお腹の中に、

小さな赤子が、ぷかぷか浮いているのを。


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