Thanks for XX【六花の翼・番外編】


「だって……

あれはあんたが、あたしを否定するようなこと、言うから……」


「え?」


「普通の結婚が良いに決まってるって。

じゃあ、あんたと付き合ってるあたしは何なの?

あんたは将来のこと、どう思ってるのって、思うじゃない」


素直に、そう言ってやると。


太一は、ぽむ、と手のひらに拳を置いた。


「納得……!」


「はっ?」


「そう思ってたのか!

言われなきゃ、わからないもんだなあ!」


「きゃああ!!」


なぜか太一は、にぱああと笑って。


あたしを、ぎゅううと抱きしめた。


「きゃああって、何だよ。

俺のこと、嫌いじゃないくせに」


「ば……っ」


「俺のこと好きだから、怒ったんでしょ?」


太一の甘い声が、鼓膜を毒していく。


コ、コイツ!!


天然小悪魔かっ!!


頬が熱くなるのを止められないあたしに、

太一は優しく囁いた。



「ごめんね、不安にさせて」



その言葉は……。


今度はあたしの涙腺を、刺激した。


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