Thanks for XX【六花の翼・番外編】
「けどさー、焦ったよ。
意地になって、清良からの連絡、ずっと待ってたのに、
何も音沙汰ないんだもんな。
もしかして新しい彼氏いるかと思った」
「あんたこそ、各地に現地妻がいるんじゃないでしょーね?」
「いないよ。
俺の妻は、一人でじゅうぶん」
とくん、と心臓がはねた。
も、もしかして、これは。
今夜が、Xデーなのか!?
見上げると、太一は。
あたしに、こつんと額をぶつけた。
そして、可愛い唇で、ひとこと。
「清良だけでいい」
そう、つぶやいた。
「清良は?
普通じゃない、陰陽師の俺の……お嫁さんに、なる気はある?」
そうじゃないでしょ。
そこは男らしく、『結婚しよう』でしょ。
そう思っても、
目からは自然に、
涙が、溢れた。