Thanks for XX【六花の翼・番外編】
「大好きよ、太一」
素直じゃなくて、ごめんね。
こんなあたしだけど。
たまには可愛いって、思ってくれる?
「うん」
テレパシーが伝わったようなタイミングの返事に、
あたしは笑ってしまった。
泣きながら。
すると、太一も満足そうに微笑んで。
あたしに、もう一度。
キスをしようとした。
……ん、だけど……。
「うえっ」
「?」
「ごめ……っ」
唇が触れる寸前、太一の香水のにおいを、
思い切り吸い込んでしまった。
いつもは甘くしびれるような感覚が、
何故今日に限って吐き気に!?
ちょっとショックを受けたような太一を置き去りに、
あたしはトイレに走った。