Thanks for XX【六花の翼・番外編】
結局デキ婚して、三年。
生まれた子供は、すくすく育っていた。
何の覚悟もないままの、妊娠・出産・子育てだったけど。
やればできるもんだねーと、あたし達は笑った。
でも、あたしは知っている。
ここまで頑張れたのは、太一がいてくれたから。
この子の父親が、太一だから。
本当は誰よりも広い心で、
あたたかくて、
素直な太一が、いてくれたから。
「ききききき、清良!!」
幸せを噛み締めていたら、すっかりパパの顔になった太一が、
スマホをにぎりしめ、キッチンのあたしのところに走ってきた。
「どうしたの?落ち着いてよ」
「だだだ、あああああの、あき、瑛さんが」
「は!?」
あたしは太一の手から、スマホをもぎとった。
そこから、聞き覚えのあるクセのある声と。
泣きながら、なにを話してるかわからない、親友の声が聞こえてきた。
あたしと太一は、子供の前にも関わらず、
大声で、うわあああああと泣いた。
幸せで、幸せで。
ビッグバンが起こったようだった。
ねえ、太一。
あたし達の幸せは、もっときっと、
大きくなっていくよね。
「清良ぁぁ、お前のおかげだよおぉぉ」
同じことを思ったらしい太一が、あたしを抱きしめる。
あたしは幸せな気持ちで、その広い背中に腕をまわした。
【END】