Thanks for XX【六花の翼・番外編】
こんな俺が、まりあを迎えに行ったのは早すぎたのかもしれない。
しかし。
夏が来るたび、あの年の事を思い出し。
冬が来るたび、六花を翼に変えた姫が、恋しくなった。
『この先誰を愛しても、幸せでいてね』
『あぁ、お前も……』
強がって、そんなやりとりをしてしまった事を後悔していた。
誰にも渡したくない。
他の誰も、いらない。
必ず会いにいくから、待っていてほしい。
だけど……。
あの時の俺は、どうしてもそんな事は言えなかった。
たった17歳だった彼女の人生を縛る事なんか、できなかった。