Thanks for XX【六花の翼・番外編】
「実家で姪や清良に会って、気が変わったか」
「……だって、今すぐ妊娠したって、
産むのは29になっちゃうんだよ?
二人目、三人目て考えたら……。
結婚に適齢期はないけど、出産はあるんだよ」
まりあはボソボソと、小さな声で言った。
やっぱりな。
本当は、子供が欲しかったんだ。
「…………」
「瑛さんは、まだ子供、いらない?」
「……それは……」
「もー、ハッキリしてよ!!」
まりあは起き上がり、俺の肩を叩いた。
しかしその攻撃は、弱々しかった。
「夫婦に色んな形があるのは、わかるよ。
瑛さんがどうしても要らないっていうなら……
残念だけど、同じように子供がいらない人と、
一緒になった方が良いと思うの」
最後の方は、涙声になっていた。
俺は、自分の胸が凍っていくのを感じた。