Thanks for XX【六花の翼・番外編】
「……別れたいって、ことか」
喉から出た声はかすれていた。
「バカ。そんな事言ってない。
だけど……。
私は、いつか、子供がほしい。
この一年、瑛さんの気が変わってくれないか、期待してたけど。
……ほしい人と要らない人が一緒にいても、悲しいだけだよ。
どっちかは我慢しなきゃならないんだもの」
「…………」
まりあは、下を向いたまま、俺の手をにぎっていた。
「体はどこも悪くないのに、
あきらめるなんて、できない」
……そうだった。
こいつは、滅多にあきらめない。
「……じゃあ……
入籍して、養子をもらうか」
「えっ?」
「……それなら、いい」
「なんで?なんで養子なの?」
まりあは、ほとんど泣いていた。
俺も、泣いてしまいたかった。