東雲の支配者
久しぶりに母との時間を過ごした私は、夜になると疲れきって部屋の窓からぼんやり外を眺めていた。
すると、家の前でジョギングをしている悠太が見えた。
私は机の引き出しから懐中電灯を取り出すと、いたずらに悠太を照らした。
すると悠太は周りをきょろきょろと見渡し、私を見つけた。

「なにしてんだよ！早く寝ろよ！」

悠太は呆れたような笑顔でそう言った。

「はいはい。おやすみ。」

「おやすみ。明日な。」

私は周りをきょろきょろと見渡す悠太の姿が可笑しくて、しばらく笑いが止まらなかった。

思えば悠太は昔から私を気にかけてくれる。
小さい頃母に怒られて外に閉め出されている私を見つけると、自分の家からゲームボーイを持って来て、私が家に入れてもらえるまで一緒にゲームをしてくれた。
町内のお祭りの時友達がいなくて家にこもっていた私を連れ出して、一緒に回ってくれた。
家が斜め向かいだから母の怒鳴り声もしょっちゅう聞こえるだろうし、私に同情しているに違いない。


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表紙・目次

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