東雲の支配者

ある日の体育の時間。
隣のクラスと合同で、男子はバスケ、女子は跳び箱をしていた。
とは言っても、跳び箱なんて誰も真面目にやる訳もなく、私は一人で黙々と跳び続けた。
横を見ると、男子がバスケをしている。
その中に隣のクラスの悠太もいる。
悠太はスポーツ万能で頭も良くて、サラサラのストレートヘアの美少年だ。
つまり、なんの取り柄もなく、冴えないおかっぱ頭の私とは正反対だ。
そう思うと突然自分という存在そのものがすごく恥ずかしく思えた。

「はぁ…。」

私は小さくため息をつくと、また跳び箱を跳ぶ。
すると、それを見ていた隣のクラスの女子が大きな声でこう言った。

「もうすぐ授業終わりじゃない？そろそろ跳び箱片付けようよ。」

「でもまだ跳んでる人が約一名いるんですけどー。」

「つーかうちら跳び箱誰も使ってなくない？使った人が片付けるべきだし。」

「あっ、そっか。じゃあ教室戻ろう。」

「じゃっ、土田さんよろしくー。」