東雲の支配者
第二章 幕開け
向かった先は、いつもの川原。
少し先に見える橋の向こう側を見ると、夕陽に染まる茜色の雲がとても綺麗で、気が付くとそこに向かって歩いていた。
とても不思議な気分だ。
気が付くと私は無意識のうちに、あの光の先に行きたいという衝動にかられていた。
その光を見ていると、自分が吸い込まれていくような不思議な感覚に陥った。
光は徐々に私を包み込み、川原も土手も覆い尽くし、何時の間にか私は茜色の光の中を歩いていた。
まるで夕陽に染まる雲の中を歩いているようだ。
その光があまりに綺麗で、私はついこう思う。

「生きてて良かった…。」

死ぬ直前にこんな景色が見られたら、きっとあんな母親にすら感謝の気持ちが湧くほどの美しさだ。
そんな事を考えていると、光の向こう側がぼんやりと見えてきた。
よく見ると一人の青年が仁王立ちして私の方をじっと見ている。
その青年に近付いて行くと…。

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