東雲の支配者
「はははっ!もうダメ!ギブアップ!」

私も我に返り、笑が込み上げてくる。

「はははっ!私こんなに夢中で踊ったの初めて。もう、陽咲のせいだから!」

「でも楽しかったでしょ?」

「…うん。ふっ、はははっ!」

私達はしばらく砂浜に寝転がったまま笑っていた。
こんなに大笑いしたのはいつぶりだろう。
私は楽しくて仕方なかった。
このまま時が止まればいいと思ったのはきっと私だけだろう。

気が済むまで笑った私達は、海を離れ街へ戻った。
そして煉瓦造りの家が並ぶ住宅街の広場へ向かった。
そこには露店が並んでいて、まるで祭りにでも来たような気分だ。
人ごみの中に一人ピエロの格好をして風船を配っている人がいる。
ピエロは陽気なステップを踏みながら人々に笑いかけている。
私はそのピエロに釘付けになった。
すると、気のせいかピエロの方も私をじっと見ているような気がした。
どうせ気のせいかと思い、私は視線をそらす事なくピエロを見つめる。

「なに見てるの?」

陽咲の問いかけでふと我に帰った私は、視線を陽咲の方に向ける。

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