東雲の支配者
その瞬間母がドタドタとすごい音をたてて私の目の前まで来ると、私の腕を思い切り引っ張ってそのまま押入れに突き飛ばした。私はそのまま数時間押入れで放置され、その間も血は出続けていた。ようやく母が戻って来ると、押入れの床は血で真っ赤に染まっていた。それを見た母は、突然泣き出し私を抱きしめこう言った。「こんなに血が出てるじゃない!なんで言わないの?可哀想に。痛かったでしょ?」自分でコップを投げ付けたとは思えない発言に、私はただただ呆れる事しか出来なかった。」

話が終わると同時に、会場内は爆笑の渦に。
ステージから降りると、色んな人が私に話しかけてきた。

「いやー良かったよ!それにしても破天荒な母ちゃんだな!」

「小学生が呆れる母親なんて相当まぬけだな!面白い話が聞けて良かったよ!」

私は今までにない満足感でいっぱいになった。
それと同時に、今まで喉の奥につっかえていたなにかを吐き出したかのような爽快感を感じた。
そして私は元の席に戻った。
すると…。

「ちょっと来い。」

突然雨音が私に言った。
言われるがまま部屋を出た私を、誰かが呼び止める。

「ちょっと待って!」

水穂だ。

「私、あなたの話を聞いてなんだか勇気をもらったわ。必ずまたここで会いましょう。」

そう言って私と水穂は握手を交わした。

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