東雲の支配者
学校から家までの距離は、徒歩で片道40分。
普通はバスを使うだろう。
けど、私は歩く。
あんな狭い箱の中に詰め込まれるくらいなら、私はどこまでも歩く。
狭い空間や、暗い場所が極度に嫌いなのは、恐らく昔からよく母に押入れに閉じ込められていたせいだろう。
考えただけでも息が詰まり、吐き気がする。
いつものように川原を眺めながら土手を歩いていると、突然強い風が吹いた。
その瞬間、かぶっていた麦わら帽子が宙に舞う。
慌てふためく私を小馬鹿にするように、帽子は私の腕をすり抜け川原とは反対の方向に飛んで行く。
土手を転げ落ちる様子は、まるで私から逃げているようにも見えた。
それを追い掛ける私は必死そのもの。
普通はバスを使うだろう。
けど、私は歩く。
あんな狭い箱の中に詰め込まれるくらいなら、私はどこまでも歩く。
狭い空間や、暗い場所が極度に嫌いなのは、恐らく昔からよく母に押入れに閉じ込められていたせいだろう。
考えただけでも息が詰まり、吐き気がする。
いつものように川原を眺めながら土手を歩いていると、突然強い風が吹いた。
その瞬間、かぶっていた麦わら帽子が宙に舞う。
慌てふためく私を小馬鹿にするように、帽子は私の腕をすり抜け川原とは反対の方向に飛んで行く。
土手を転げ落ちる様子は、まるで私から逃げているようにも見えた。
それを追い掛ける私は必死そのもの。