東雲の支配者
「私、帰らなきゃ…。」

「あっちの世界は、辛い事でいっぱいだよ?」

「…うん。でも、強く生きるよ。陽咲や雨音、デーテに教えられた事を無駄にしないためにも。」

「そっか。それなら安心して送り出せるよ。」

陽咲はそう言って笑みを浮かべた。
けどその表情はどこか辛そうに見えた。

陽咲は別れを惜しむように私の頬を両手で撫でた。
そしてそのまま私のおでこに陽咲のおでこを擦り付ける。

「亜夕…愛してるよ。今までも、これからも、私は君だけを会いし続ける。」

私の頬には止まる事なく涙が流れる。

「陽咲、もう会えないの?」

「大丈夫。いつも悠太の側で見守ってるよ。会いたくなったら悠太の瞳の奥を見つめてごらん。私はいつもそこにいるから。」

忘れない。
これほどまでの愛を、忘れられる訳がない。
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